【ハーフの日本語教育】ハーフの子どもの日本語学習と教材

【ハーフの日本語教育】ハーフの子どもの日本語学習と教材

こんにちは。

私は日本語教師として5年・日本の公立学校や海外の日本人学校、塾で7年働いてきて、多くの海外で育った子どもたちを見てきました。

今回はハーフ/ダブルの子どもたちで、日本に住んでいないなどの理由で日本語ケアが必要な子どもたちについて、おすすめの教材などを教えようと思います。

年齢ごとに対応なども分けて紹介します。

ゼロ歳から6歳まで:日本語で話しかける・読み聞かせ

この段階では、日本の子育てと同じように勉強しましょう。

読み聞かせは特に言語だけでなく思考力にも有効ですし、絵本は後々のひらがな学習にも使えますから、積極的に行いましょう。

海外では町中など外で日本語にふれる機会は少ないですから、小学校入学前の段階でひらがながきちんとマスターできていればすごいと思います。できていなくても焦る必要はありません。

まず、重要なことは「完全ではない言語で子どもに話しかけないこと」です。子どもは親の話した言葉を学びます。もしその言葉が誤りを含んだつたないものなら、子どもの言葉もそうなってしまうでしょう。

また、あなたが子どもに話しかけるときに複数の言語を使い分けることもやめましょう。子どもは、「人」ごとに言語を習得します。したがって、お父さんは中国語、お母さんは日本語など、きちんと分けて話しかけることです。話しかける言葉がしっかり住み分けられていれば、夫婦間の会話が英語などの別言語であっても問題ありません。

6歳から12歳の小学校相当:読み書き練習・積極的な会話

Youtubeやアニメ・マンガ・ゲームなどを活用していきましょう!

・日本語での会話能力が年齢相応・やや劣る程度の場合

小学校に入ると、インター校なら英語・現地校なら現地の言葉で教科を学習していくことになります。

ここでの対応は「読む」と「書く」の2つに重点を置きましょう。

「話す・聞く・書く・読む」のうち、「会話能力」に相当する「話す・聞く」はあなたとの会話の中で養われていきます。強いて言うなら、「今日どんな事があったのか」を毎日聞くようにし、「あったことを自分なりにまとめて話す」機会があるとよいです。思考をまとめる作業が子どもの思考力を成長させます。

また、可能ならば現地のコミュニティなどで、親以外の話し相手を作ることも有効でしょう。

そして、肝心なのが「読む」と「書く」です。これについては、日本語を学ぶために教材を用意する必要があるでしょう。

おすすめ教材3つ

・外国人向けの日本語学習教材 日本語能力☆ おすすめ度☆☆

・日本の小学生用の国語教科書・漢字ドリル 日本語能力☆☆ おすすめ度☆☆

・論理エンジン(小学生用) 日本語能力☆☆ おすすめ度☆☆☆

・外国人向けの日本語学習教材 日本語能力☆ おすすめ度☆☆

これは外国人が日本語を勉強するために用いるテキストです。会話を重視、文法重視など数多くあります。解説ではなく、問題集(JLPT=日本語能力試験対策など)がいいと思います。これは、英検やTOEICの日本語版と言えるものです。

N5からN1までレベルがありますが、小学生ならN5−N3の間で選ぶといいと思います。N2以上のものはビジネス向けの言葉などが多くなりますので、小学生には難しいでしょう。

こちらのメリットは海外でも手に入りやすいことです。書店に行って実際に選ばれるといいと思います。

デメリットは、場合によっては簡単すぎることです。スラスラと9割以上正解できてしまうようなら、他の教材を検討したほうがいいかもしれません。

・日本の小学生用の国語教科書・漢字ドリル(日本語能力☆☆) おすすめ度☆☆

言わずもがな、日本の小学生と同じ読み書きの勉強をすれば、同じ力がついていきます。ただし、授業を受けるわけではないので、ただ一人で読むだけだと読解能力が十分に育たない可能性があります。教科書が終わったら他にも教材を与え、「読む」機会を増やしてあげる必要があります。また、あなたに時間があるなら一緒に読んで感想などを話してもいいでしょう。

漢字ドリルについては日本の小学生用を用いることをおすすめします。公立学校で使う正規のものでなくても、塾用・自習用の教材など選択肢は多くありますから、よく選んでください。選ぶときは、「小学校1年生用」など、学年ごとに1冊ずつある物を選ぶことをおすすめします。

・論理エンジン(小学生用)日本語能力☆☆ おすすめ度☆☆☆

学校教育では、国語の読解力を伸ばす教材として特に中高で有名な教材です。小学生版もあり、こちらも同様に使える教材です。イメージは算数ドリルの国語版だと思うとわかりやすいかもしれません。

これの特徴は、「そんなに長くない文・文章」で、「読解力・思考力を鍛えられる」という点です。つまり、日本語の長文を読むのが苦手だなという子どもにも取り組みやすくなっています。

1ページずつ完結しているので、そんなに腰を据えて取り組まなくても進められる点も魅力です。

こちらは読解力のみで漢字対応はしていませんから、上記2つの教材を合わせて使っていただくといいと思います。ぜひ一度お手にとって見てください。

・これまで日本語の会話などを全くしていない場合

言語習得はおよそ10−12歳程度までであれば母語話者と同程度まで発達するとわかっています。(諸説あります)

しかし、やりかたは少し注意する必要があります。いきなりあなたが日本語のみで話しかけるようなことをしては子どもはショックを受けますから、生活の中に少しずつ日本語を入れていってください。

しれっと日本語の絵本などをおいておく、ポロッと日本語で独り言などを言ってみて子どもに「なんていったの?」などと自発的に質問させる、など、あくまで自然な導入を心がけてください。

もし小学校高学年なら「日本語勉強してみない?」など、きちんと伝えたほうがいいかもしれません。しれっと絵本を置いておいても、子どもは親の意図にしっかり気がついて、変に反発するかもしれませんからね。もちろん言い方や伝え方はそれぞれの年齢や性格に合わせてくださいね。

言語習得で最も重要な要素は「モチベーション」です。つまり、「日本語を話すの楽しいな!」と思ってもらうことが大切なのです。ですから、あなたが焦って、「今日から毎日30分、日本語の時間を作って勉強するぞ」などと形式化しては危険です。それだけは気をつけてください。

・年齢相応ではないが、ある程度の日本語会話能力がある場合

年齢としては小学校3年生だが、日本語能力は幼稚園生くらいであるとかですね。子どもの頃は日本語に取り組んでいたが、途中でやめてしまったとか、上のように小学校から日本語に取り組みはじめて、ようやく簡単な会話ができるようになってきた、などが考えられるでしょう。

この場合は、この項目の一番上の「日本語能力が年齢相応・やや劣る場合」と同様の取り組みをしてください。日本語レベルが小学校1年生レベルなら1年生用の教材から始めていきましょう。

13歳以降の中学校相当

・日本人の中学生レベルまで日本語が発達している場合

これ以降は、教科書を使っての学びは難しくなってくるでしょう。唯一おすすめできるのは、先に紹介した論理エンジンのOS1からOS5という教材です。これは、何となく学んでいた日本語の構造をしっかり理解することに役立ちます。

それ以外では、もう「勉強」という感覚で学ぶよりも、本・漫画などを読むことで、漢字・読解の力を伸ばしていくべきです。これは上で書いたように、小学生段階においても有効です。

勘違いされがちですが、漫画は読解力向上に有効ですから悪いものだと決めつけず、適度に与えたほうがいいと思います。TVゲームなども種類によりますが、RPGなどのストーリーを読みながら進めていくものであれば、十分日本語力の向上に役立ちます。

余談になりますが、実際に海外で日本語を勉強している外国人のうち、流暢に日本語を話す人の多くは、アニメ・マンガ・ドラマ・ゲームなどのポップカルチャーを日本人顔負けなくらい取り込んでいます。

また、会話についても日本語で話せる相手を親以外にも確保できると強いですね。日本人コミュニティでもいいですし、オンラインで友達を作ってもいいでしょう。ただし、危ないことには巻き込まれないように。

・これまで日本語に全く触れていない場合

この場合は、外国人として日本語を学んでいくことになると思います。そのため、日本人の英語学習のように文法などを抑えつつ、会話・読解活動に励んでください。

外国人を対象とした日本語教育については多く記事があるので、ここでは説明をゆずります。

まとめ

いかがでしょうか。

上にも書いたように、言語習得において大切なのは、「モチベーション」です。その「モチベーション」を保つために大切なことは、「有能さ」「関係性」「自律性」の3つだと言われています。

「有能さ」自分はできると感じられるかどうか。
「関係性」周りの人といい関係の中で学べているかどうか
「自律性」自分で何をするか決められているかどうか。

難しい用語で、これを自己決定理論といいます。いずれの場合にもこのことを念頭に置いて、楽しい勉強を続けていきましょう!

以下、オススメ教材のリンクとなります。